「やさしい日本語」の重要性とイベントでの活用
2024年11月8日
日本の社会において外国人住民や観光客の増加が続く中、異文化間コミュニケーションの障壁が顕著になっています。日本入国管理局と文化庁の調査によると、外国人が日常生活や災害時において情報を十分に理解できないケースが増えています。
また、1995年の阪神・淡路大震災では、多くの外国人が緊急情報を理解できずに困難を経験したことが、「やさしい日本語」普及のきっかけとなりました。こうした背景から、「やさしい日本語」は日本語を母語としない人々だけでなく、高齢者、子ども、障がい者といった日本語の理解が難しい人々に対しても必要な配慮です。
やさしい日本語とは
「やさしい日本語」とは、文法や言葉のレベル、文章の長さに配慮し、わかりやすい表現を用いる日本語のことです(東京都多文化共生ポータルサイトによる)。例えば、専門用語を避けたり、日常的な語彙を使って説明したりすることで、誰もが理解できる言葉を目指しています。特に、緊急時の情報伝達や公共サービスの案内において、迅速かつ正確に情報を届けるための手段としてその重要性が高まっています。
さらに、「やさしい日本語」は「誰一人取り残さない」社会を目指すSDGsの理念と密接に関連しています。多様な背景を持つ人々が平等に情報を得ることができる社会を実現するためのツールであり、多様性やインクルージョンの促進にも寄与することができます。
イベントとの関わり
「やさしい日本語」は、イベント企画・運営において多様な参加者のニーズに対応するために重要な要素です。特に、国際イベントやユニバーサルデザインを取り入れたイベントでは、外国人だけでなく、高齢者や障がい者、子どもたちも含めた幅広い層が参加します。言語の壁を取り除くことで、誰もが安心してイベントを楽しめる環境を提供することができます。
※「2020年東京オリンピック・パラリンピック」事例の紹介
大会では「やさしい日本語」を取り入れた案内表示やパンフレットが多くの外国人観光客や高齢者、障がい者に対する配慮として活用されました。避難経路や緊急時の案内にも「やさしい日本語」を用いることで、緊急事態における情報の伝達がスムーズに行われ、安全性が向上しました。
「やさしい日本語」は、イベント運営において多様な参加者が平等に情報にアクセスできる環境を整えるための重要なツールです。ユニバーサルデザインを意識した運営を進めることで、イベント全体の質を向上させ、誰もが安心して楽しめる体験を提供することが求められます。
参考情報
文化庁のサイトに「やさしい日本語ガイドライン」や「話し言葉のポイント」などの情報を掲載しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
※URL:https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/92484001.html