ISO20121改訂についての最新情報
2024年11月22日
2024年4月に改訂されたISO20121は、イベント分野におけるサステナビリティマネジメントの国際標準として重要な進化を遂げました。
9月25日、Positive Impactの代表であるFiona Pelham氏が、改訂の背景や変更点について解説するプレゼンテーションを行いました。今回の改訂では、「気候変動」「人権」「レガシー」3つの重要テーマが強調されています。
気候変動(Climate Change)
ISO20121:2024は、企業や組織がサステナブルな取り組みを具体的に推進するためのツールとして位置づけられており、特に二酸化炭素排出削減へのベスト・プラクティスが求められています。同規格のセクション4「組織とその背景の理解」には、「気候変動」が組織に関連する問題であるかどうかを評価することが義務付けられ、ロンドン宣言(※)に基づき、二酸化炭素排出削減への行動を支援する方針が示されています。
※ロンドン宣言
気候変動に組織を挙げて取り組んでいくことを宣言したもの。ISOロンドン宣言は、気候変動に組織を挙げて取り組んでいくことを宣言したものである。ISOは、2021年のロンドン総会で「ロンドン宣言」を行い、気候変動対策へのアプローチを変革し、ネットゼロを達成するための国際的な取り組みを推進していくことを宣言した。人権(Human Rights)
今回の改訂がサステナビリティの観点からユニーク(特徴的)である理由の一つです。国連の人権ガイドラインに明確に準拠し、特に子どもの権利を含めた人権を保護するための措置が強化されています。
イベントの計画、実施、そしてレガシーの段階においては、人権専門家や影響を受ける可能性のある当事者などとの連携が求められます。この人権に関する指針は、現在UNICEF UKと共同で執筆された付属文書によってさらに具体化されていきます。レガシー(Legacy)
イベント後の持続可能な影響を意識し、短期的なものから長期的、さらには地域的、国際的なレベルまでを考慮する必要があります。特に中小規模のイベントでもレガシーを創造することの重要性が強調されており、イベントの計画段階からサステナビリティを軸にした革新が求められます。レガシーは「有形(ハード)」と「無形(ソフト)」の両面に注目することで、単なるチェックリストに頼らないサステナブルな価値の創造が進められます。
ISO 20121:2024は、単なる規格以上の存在として、イベント業界全体を持続可能な方向に変革するためのマイルストーンとなっています。特に、オリンピックやパラリンピックのような大規模国際イベントにおいては、サステナビリティに関する共通の言語と作業方法を提供することで、関係者全員が信頼できるフレームワークを共有することが可能です。
また、イベント主催者や関係者には、これらの新しいフレームワークを積極的に活用し、サステナビリティを組織全体に統合するアプローチが求められます。気候変動対策や人権保護における実践を進めることで、より責任あるイベントの開催が可能となり、その効果は長期的にわたって社会に還元されるでしょう。