イベント分野における世界の潮流-「人権」についてのご紹介

今回は、Positive Impact Events本部と共同で「イベント分野における人権」をテーマとして、「イベントとの関わり」や「これから私たちができること」などをご紹介いたします。

「人権と子どもの権利」とは

まずは、「人権」と「子どもの権利」ということばへの理解を始めましょう。

「人権」というのは、全ての人々が生まれることによって与えられる基本的な権利と自由です。私たちの日常・職場生活との関係も緊密です。例えば、教育を受ける権利、十分な生活水準を持つ権利、働く権利、安全・健康的な労働環境・条件への権利などのことを指します。

「子どもの権利」というのは、18歳未満の全ての人々に与えられる人権です。子どもたちが意見を発表する権利があり、自分の意見を考慮してもらう権利もあります。大人である私たちが、子供の最善の利益のために何が必要かを考慮する必要があります。

欧米では、以前から「人権と子どもの権利」を重視していますが、歴史や文化などの違いという理由で、アジアの国ではこのような意識が低いと言われています。ここでの「意識が低い」とは、「人権」を独自の領域とする意識が低いと言いうことです。しかしアジアでは、この意識が低くても、実際には各領域でも似ている概念があり、多くの取り組みが行われています。

イベントと「人権」の関わり

イベントを開催することによって影響が必ず発生します。悪影響やリスクを回避するように「誰がこれらの影響を受けているか(利害関係者[1])」を理解したうえ、企画段階に影響を受ける人々を巻き込むと、今まで考えていない課題を特定し、解決するための取り組みを行い、より多様性を受け入れるイベントを作ることができます。

ここでの考え方と日本で独自に発展した「ユニバーサルイベント」観点とは似ています。「誰でも楽しくイベントに参加できる」イベントづくりを目指し、車いす利用者、外国人や子どもなど、すべてイベントに関わる対象に配慮することは、それらの人々の人権を守ることと言ってもいいのではないでしょうか。また、地域コミュニティへよい影響を与えるため、「地産地消」「地域雇用」などの取り組みを実施することで、地域の人々の人権を守るができます。

これについて、イギリスの国際連合児童基金で「子どもの権利とスポーツの原則」に携わっているLucy Amis氏により詳しく説明します。こちらのビデオをご覧ください。

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イベントに関わる利害関係者の人権を守る手段であるISO20121

ISO20121は、イベントにおけるサステナビリティを実践するための枠組です。このマネジメントシステムは、最初から組織内の役割・責任を明確に、利害関係者を認識、課題を特定、そして改善につながる項目を設定・測定することなどをすることができます。

この中で、最も強調するのは「利害関係者の認識とコミュニケーション」です。イベントにより発生される影響を受けるすべての人々を認識し、企画段階からコミュニケーションをとりながら、それらの人たちの最善の利益を考えることをイベントプランナーとして常に意識することが重要です。

イベントを企画するときに人権が配慮されることで、そのイベントの価値が上がり、そして自分たちが望む世界へと変えていくことにもつながります。

これについて、Positive Impact Eventsの代表であるFiona Pelham氏により詳しく説明します。こちらのビデオをご覧ください。

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これから私たちができること

イベント開催向けに準備する際に、下記に皆さまがとれる行動をご紹介いたします。

  1. 「包括性」および「多様性」を守るため、イベントによる影響を受ける人々がすべて含まれるかを確認しましょう。

  2. それらの人々が生活しているコミュニティに「自分たちの権利」を伝えるため、関連教育を提供しましょう。

  3. そして、自分たちの権利を認識してもらうため、関連のキャンペーンやイベントなどに参加することを促進しましょう。

  4. 持続可能な開発目標(例、目標16「平和と公正をすべての人に」)の達成につながる学習などの行動が取れるようにするため、様々な背景を持つ影響を受ける人々と協力しましょう。

  5. 持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できるように、様々なコミュニティを対象として、定期的にイベントを開催できるよう、他の組織・団体にもお願いしましょう。

今回「人権と子どもの権利」をテーマとしてイベントとの関わりなどをご紹介いたしましたが、この記事内容やビデオなどに対し、皆さまはどう思うでしょうか。

ぜひ、下記のURLにより率直なご意見を聞かせてください。いただいたご意見を今後Positive Impact Eventsがより充実した研修などを実施すると参考させていただきます。

※URL:https://forms.gle/KoppXFdfnwmqW1vo7(全6問、完成まで約2分)

また、何か不明な点等ございましたら、Positive Impact日本事務局(pi@cerespo.co.jp)までにご連絡をお願いいたします。

[1] 利害関係者とは、ある決定事項もしくは活動に影響を与え得るか、その影響を受け得るか、またはその影響を受けると認識している個人または組織を指します(ISO20121‐要求事項と利用手引により)。スポーツイベントであれば、スポーツの関係者、協賛企業、選手、ファン、観客、ボランティア、地域コミュニティなどの利害関係者がいます。

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