ISO 20121(イベントの持続可能性に関するマネジメントシステム)の改訂について

2024年6月14日

2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックは、サステナビリティを目指す大会として運営され、最も環境に優しい大会として高い評価を得ました。その大会を支えたのが、持続可能なイベント運営のためのマネジメントシステム規格であるISO20121です。発足してから12年が経つ現在、社会的風潮が変化したこともあり、当規格の体系的見直しが国際舞台で、急速かつ順調に進んでいます。

英国規格協会(英称:BSI) [1] は、地球の日(英語:Earth Day)である4月22日に、「よりサステナブルなイベントを創出するには(How to Create More Sustainable Events)」というテーマで、ウェビナーを開催しました。

ウェビナーで、当規格が政府の政策や企業にどのような影響を与えるか、各業界の専門家らと意見を交換し、当規格改定委員会の委員長を務めるPositive Impact Events代表のFionaPelham氏より、改訂された規格3つの特徴を紹介しました。

  1. 【特徴一】改訂された規格は、イベント・ロジスティックスから、グローバルな背景でイベントの目的に焦点を当てることに、考え方を転換させる可能性を持っています。

    例えば、4.1節の「組織の背景を理解する」 では、気候変動が関わる問題として含まれます。事例でいうと、雪の減少、山火事の増加など気候変動の問題で、スキースポーツ、フェスティバルへの影響が大きく出てきます。

  2. 特徴二】改訂された規格は、イベントが国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、必要な人間の関与を可能にすることを支援しています。

    例えば、5.2節の「方針」において、ユーザーは、組織の「サステナビリティ長期目標」に基づき3-10年のビジョンを盛り込むことができるようになりました。このようにイベントと企業のサステナビリティに焦点を合わせることは、責任者がその職務権限にイベントを含め、企業のサステナビリティ戦略に沿った、イベント・マネジメントを形成するための基準を使用することができます。

  3. 【特徴三】改訂された規格は、イベント業界にリーダーシップを発揮する機会を与えます。

    例えば、7.4節の「コミュニケーション」では、サステナビリティの主張と報告に関わる規制が強まる中、ユーザーは、一般の方に誤解させないコミュニケーションを行うことが求められています。フレームワークとなる当規格を利用することで、イベント業界が、参加者、パートナー、スポンサーやサプライヤーなどとの信頼関係を構築することができます。

その後、「ISO20121における気候変動・人権・レガシーへの関心が高まりでは、ユーザーにとって何を意味するのか」、3つのパネルディスカッションと最後となった質疑応答が行われました。このウェビナーに興味があれば、こちらをご覧ください。(https://www.youtube.com/watch?v=LXg8kKdNcQ4

[1] BSI(王室認可により設立されたBritish Standards Institution, 英国規格協会)は、英国の国家規格協会(NSB)として業務を行っています。NSB業務に加え、BSIはグループ企業とともに、規格を元にしたベストプラクティス(認定、自己評価ツール、ソフトウェア、製品テスト、情報製品、トレーニングなど)を通じて世界中の企業の業績向上を支援する、幅広いビジネスソリューションを提供しています。詳しくは、こちら(https://www.bsigroup.com/ja-JP/about-bsi/)。

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