SDGs実現に向けたパートナーシップ構築
持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、国連は「パートナーシップ」と「コミュニケーション」へ、より強いコミットメントが必要だと指摘しています。社会課題解決のため、イベントをきっかけに、さまざまな業種や職種の方の意見交換が進み、サステナブルな取り組みや技術なども取り上げられます。そのため、イベント業界は重要な役割を果たしています。
今月、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」を中心に、Positive Impact代表Fiona Pelham氏がTransparency Internationalでワーキンググループの議長をつとめるSylvia Schenk氏にインタビューを行いました。
Fiona:
Sylvia Schenkさんは、元アスリートとして、長年にスポーツ界の透明性、公正性の向上に取り組んでいるリーダーです。
Sylviaさん、今回のインタビューにご協力いただき、ありがとうございます。
現在つとめている仕事の内容をご紹介していただけますか。
Sylvia:
ありがとうございます。Transparency Internationalは、非営利組織であり、組織の透明性に関する課題を取り上げ、現状を変えようというミッションを達成するために、腐敗を防ぐための助言と教育を提供しています。例えば、スポーツ団体やイベント主催者へ、利害対立を避けるために自らできることを助言し、また地元のコミュニティとつながり、進め方や効果などを指導します。
Fiona:
地元のコミュニティとつなぐとき、「利害関係者の関与」と「異なる団体との連携」が大切だと思いますが、組織の透明性を確保するために、影響を与える要素にはどのようなことがあるでしょうか。
Sylvia:
人々からの関与と連携がないと、組織が透明・公平になることは不可能ですから、我々の仕事に対して「利害関係者の関与」と「異なる団体(政府、NGOなど)との連携」は、非常に重要な要素となっています。我々も協力できる組織を集め、より大きな影響を与えるように努めています。イベント業界も同じだと思います。イベントは、さまざまな課題、人々や組織と関わるので、世界に変革をもたらすために、多くの人々を集めることが必要でしょう。
Fiona:
イベントをよりサステナブルにするには、どのようにすればいいと思いますか。
Sylvia:
自分自身も弁護士なので、何でも従事するときには、必ず法的側面から考え、大事なことを契約書に明確に記載します。国際サッカー連盟(FIFA)へサポートする権利団体「スポーツ・ライツ・アライアンス」を例として説明します。この団体は、サッカー大会に関する権利および労働侵害に、各候補国と主催都市が取り組むことを要請し、入札基準の一つと設定し、契約の中で明確に規程を制定します。また、オリンピック開催都市との契約で(2024年のパリと2028年のロサンゼルス)、国際オリンピック委員会も腐敗の防止と人権に関する条項を契約書に反映し、入札基準の一つを設定します。
つまり、課題を解決していくには、法的基盤を構築することが重要です。構築してから、条項をどのように達成するのか、社会からのアディアを集め、ベストプラクティスを探し、提案するということです。
Fiona:
メガスポーツ・イベントの開催都市との契約で、これらの条項が求められることがよかったと思います。次のステップは、どのようにサプライチェーンに導入していくのかということです。多くの小規模サプライヤーは、契約の要件を満たすことを望んでいますが、実際にどんな手段で達成していくのかが分からない場合が多いでしょう。ベストプラクティスが作成・共有できれば、イベント業界でもよりサステナブルになるでしょう。
「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」へのアドバイス
Sylvia:
現在、非営利組織で働いていますが、元スポーツ関係者、元アスリートとして、スポーツ界との交流はまだ続いているので、非営利組織、スポーツ団体の考え方をよく理解しています。持続可能な開発目標(SDGs)に関しては、異なる業界のパートナーシップを構築するために、お互いの考え方を説明し、理解させることが必要だと思います。
これからやるべきことはまだたくさんありますが、スポーツやスポーツイベントを通じ、人々を結集させ、社会を発展させ、女性をエンパワーするといういろんな価値があります。それらの価値をもっと世界に伝えていきたいと思います。
Fiona:
パートナーシップの構築についてのアドバイスは、非常に貴重だと思います。これから、サステナビリティや持続可能な開発目標(SDGs)へ関心を持つ皆さまも、Sylviaさんからのアドバイスを実践していきましょう!Sylviaさん、今回のインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。