Race to Zero 5th-P Handbook 日本語版 (2023/12/1)

UNFCCC(国連気候変動枠組条約事務局)が取り組む国際キャンペーン「Race To Zero(レース・トゥ・ゼロ)」は、世界中の企業や自治体、投資家、教育機関などの非政府アクターに、2030年までに温室効果ガス排出量実質45%削減※(1)達成に向けた行動を早急に起こすことを呼びかけるものです。 非政府アクターが「Race to Zero」キャンペーンにメンバーとして継続的に参加するためには、「5つの要件:誓約(Pledge)・計画(Plan)・実行(Proceed)・公開(Publish)・説得(Persuade)」に適合することが求められます。 

2022年6月に新たに要件に加わった 5番目のP「説得:Persuade」は、地球温暖化を1.5℃未満※(2)に抑えるには、自主的な行動だけでは十分でないという事実を認識して追加されました。 Race To Zeroキャンペーンの参加メンバーに、自身が所属する業界団体や関係者などに対して、1.5℃目標※(2)の実現、またネットゼロ※(3)を達成できるように積極的に働きかけていくことを求めています。 2023年6月には、UNFCCCより、これを解説するハンドブックが公開されました。

こちらの77、78ページ「イベント」は、「Race to Zero」キャンペーンのアクセラレーターであるPositive Impact Events本部による寄稿です。2023年9月には、JCI(日本気候変動イニシアティブ)が、その日本語訳を発表しています。

The-5th-P-Handbook_JP_ver1.0.pdf (japanclimate.org)【日本語】

R20-HANDBOOK.pdf (unfccc.int) 【英語原本】

しかし、残念ながら国連の報告によると、現状は、2020年末までに世界各国が示した削減目標を積み上げても、2030年までに2010年比で温室効果ガス排出量45%削減目標に対し、わずか1%減の効果に留まることがわかりました。目標達成には、各国の更なる取り組みが必須です。

日本は、さまざまな分野で脱炭素化を推進する「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を強く推進し、大幅な温室効果ガス排出量削減を目指していますが、期待されたような大きな効果は挙げられていないのが事実です。その為にも、個々の企業や機関、自治体などの自主的な取り組みに留まらず、他者の脱炭素化に向けた前向きな行動、移行を後押しするような政策も必要となってきています。

今回、発表された「The-5th-P-Handbook」の日本語訳は、日本においても、こうした政策や活動が活発になるよう、国内の非政府アクター全てを対象に示された指針でです。

※(1)(2) パリ協定(2017年8月)には、産業革命以前に比べて、世界の平均気温の上昇を2℃以下(努力目標1.5℃以内)に抑えるという目標が示されています。気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2030年までに2010年比でCO2排出量を約45%削減する必要があります。

※(3) ネットゼロ…大気中に排出される温室効果ガスと大気中から吸収、除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状態を指します。

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【ISO20121改訂 Public Inquiry(2023/8/29)】