国連「Race to Zero」キャンペーン・レポート(P.I.本部記事)
2023年8月10日
六月に、国連がRace to Zeroキャンペーン※に関するレポート「The 5th P ‘Persuade‘」を発表し、当キャンペーンのアクセラレーター(促進者)であるPositive Impact Eventsが、「イベントを通じて如何にRace to Zeroへのコミットメントを促進していくか」についての記事を寄せています。(以下リンクのレポート、77~78ページ) R20-HANDBOOK.pdf (unfccc.int)
気候変動への対策として温室効果ガスの排出ゼロを目指し、政府、企業、市民社会が協力して様々な工夫、努力をすることは、現在の世界共通の課題です。
その中で、ともするとCO2排出者の様に捉えられがち、多種多数の企業、団体が関わるためスコープ3排出への対応が困難、など課題の多いイベント業界が、Race to Zeroキャンペーンの推進に貢献する者として国際社会で取り上げられたのは貴重なことです。
CO2削減への関心が高まる今、当記事は、イベント関連企業のビジネス戦略に何らかの形で役立つことでしょう。
※Race to Zeroキャンペーン
2020年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下でスタートしました。この取り組みは、パリ協定の目標を達成するため、2030年までに世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指しています。
--------------------------以下、当記事の和訳-------------------------
Race to Zeroコミットメントを促進するためのあらゆる戦略を語るにはイベントの存在が欠かせない。イベントサプライチェーン(大多数が中小企業)のアクションをサポートすることで、すべてのRace to Zeroへの参加者がスコープ3の排出量に対処することが可能になる。
英国市場のデータによると、2019年のビジネスイベントへの直接支出は194億ポンドから310億ポンドの間である。さらに、レジャーイベントは、この額に300億ポンドを追加することになる。また、2026年までには、更にイベントへの支出は43%増加すると予想されている。
規模、場所、目的、参加者、参加者の行動が異なるという事は、其々のイベントが異なることを意味し、それゆえに、すべてのイベントが同様に従うべき唯一絶対の「CO2削減アクション計画」は存在しない。
しかしながら、以下のリソースから、どのようなアクションを取ることができるかを知ることは出来る。さらに、イベントはアクションに変化をもたらすきっかけであり、創造性を身に着けるチャンスであり、新しい考え方と発想を可能にするものである。以下は、イベントを通じてRace to Zeroコミットメントを推進するためのリソースである。
• ISO 20121 (ISO ネットゼロ・ガイドラインに準拠) を使用する。
• サステナビリティについて活動しているイベント専門家のグローバルコミュニティから学ぶ。
• イベントサプライチェーンにRace to Zeroへの参加を要請する。
• イベントにおける人権と子どもの権利と保護を考慮する。
• イベントにおけるプラスチックの役割を特定する
• SDGs 13を含むSDGsを推進するために、イベントにおいてトップ経営層の同意を獲得する。
• イベントから学んだベストプラクティスを共有する
• 持続可能なイベントプラクティスについて学び、参加するイベントにおいてRace to Zeroコミットメントを推進する。
• イベント主催者にEメールを送信して、サプライチェーンにRace to Zeroへの参加を促してもらう。
• ソーシャルメディア、ウェブサイト、またはイベントプレゼンテーションを利用して、Race to Zeroに向けたアクションを奨励する。
【ケーススタディ】
・デンマークのイベント企画会社、コペンハーゲン・イベント・カンパニーは、レース・トゥ・ゼロにコミットしたことで、イベントが汚染産業の一部であるという事実を認識しつつ、どの程度まで会社のビジネスモデル自体を見直す必要があるのかを検討し、戦略的プランニングに時間を費やしてきた。
・イタリアのイベント企画会社であるイタリアン・スペシャル・オケージョンは、イベント参加者に再利用可能な水筒を提供している。これによる利益は、恵まれない子どもたちの教育を支援するコミュニティプロジェクトに寄付される。
・世界的なイベント・プロダクション企業であるアンコール社は、レース・トゥ・ゼロが意味するものを学ぶ全社的な研修プログラムの進展と合わせて、社内に「サステナビリティ・シェアポイント」というものを設置した。